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 今回はフランスの音楽番組で、私がポッドキャストを登録しているものをご紹介します。あくまでフランスのラジオ局の音楽番組という意味で、必ずしもフランス産の音楽を紹介する番組とは限りません。

 とはいっても、まずはフランスの最近の音楽を紹介する良質な番組のお話をしましょう。ふつごぽんVJのツイートでも毎週お知らせしているFrance InterのFoule sentimentaleという番組は、フランス時間では毎週金曜日の午後9時から放送される二時間番組です。France Interは国営ラジオRadio Franceの放送局の一つで、あまり大ヒット曲がかからず、趣味がよい大人でも安心して聞ける選曲になっています。Foule sentimentaleはこのラジオ局の芸術・音楽部門のディレクターだったディディエ・ヴァロが2016年の9月から始めた新しめの番組で、毎回多くのゲストを迎えて最新のフランスのポップスやロックの情報を伝えますが、ラップやエレクトロの紹介にも積極的です。この番組の題名はアラン・スーションの有名曲の題名からとっています。番組のジングルは最近機材の盗難の被害に遭ったエレクトロミュージシャン、ジャックくんの曲Dans la radioをジャックくん本人がこの番組向けに作り変えたものです。この2時間番組のあと、午後11時からはFoule sentimentale le liveという一時間番組になり、毎週二組のミュージシャンのスタジオライヴが放送されます。

 「フランス一のラジオ局」が売りの民間総合ラジオ局RTL(むかしはラジオ・ルクセンブルクとして知られた)の音楽専門局RTL2のMade in Franceという番組は、フランスの新旧のヒット曲をほぼ語りを交えずに流す番組です。毎週末土曜日と日曜日の午後8時からの二時間番組です。RTL2はポップロックステーションを自称しているので、ポップロックしかかかりませんが、基本的にフランス語の歌ばかりを選曲しています。

 本家のRTLの方ではほぼ毎週土曜日にLe Grand Studio RTLというエリック・ジャンジャン司会の番組があります。これはだいたい新作を出したばかりの有名ミュージシャンを招いたスタジオライヴです。フランスでいちばん聞かれているラジオの音楽番組というのが売りです。あくまで有名スターを中心とした番組ですが、毎回比較的に無名な新人ミュージシャンがゲストで曲を披露するので見逃せません。土曜日の午後3時からの放送で、午後11時に再放送がありますが、月に一回はLe Grand Studioのお笑い版で、音楽番組はお休みになります。

 国営ラジオRadio Franceの各地方向けの番組を放送するラジオ局France Bleuでは、毎週末土曜日と日曜日の午後19時30分からのエロディ・スュイゴ司会の30分番組La Nouvelle Scèneは毎回一組の新人ミュージシャンを迎える音楽番組です。ゲストはフランス語圏のアーティストが多いですが、必ずしもそう決まっているわけではありません。

 国営ラジオの文化番組専門局France Cultureにはエレーヌ・アゼラ司会のChanson Boum !という、あまりラジオでかからないアーティストを毎週一組紹介する優れた番組があったのですが、残念ながらエレーヌ・アゼラが引退したのでなくなってしまいました。今この局でやっている音楽番組では、毎週さまざまな音楽をテーマごとに紹介するContinent Musiquesという番組が比較的に面白いです。

France Musiqueの番組

 国営ラジオRadio Franceの音楽専門局France MusiqueのÉtonnez-moi, Benoîtは、土曜日の午前11時からのブノワ・デュトゥールトル司会の90分番組で、戦前の歌やオペレッタなどの軽音楽を扱うユニークな音楽番組です。題名と番組最後のテーマ曲はフランソワーズ・アルディの歌からとっています。ちなみにこの歌は1968年のものですが、作詞がノーベル賞作家のパトリック・モディアーノで、作曲は民謡リヴァイヴァルグループのマリコルヌのメンバー、ユーグ・ド・クールソンです。1999年から続く長寿番組です。

 France Musiqueの他の番組をいくつか紹介しましょう。42e rueは日曜日の午前11時からのローラン・ヴァリエール司会のミュージカル専門番組で、毎回いろいろなテーマの番組構成ですが、米国やフランスの新しいミュージカルの情報もあります。
 2017年の前半までEasy Tempoというイージーリスニング音楽中心の面白いコンセプトの番組があったのですが、残念ながらこれがなくなり、この番組の二人の司会者がそれぞれ新しい番組を9月から始めました。ひとつはCiné Tempoというティエリー・ジュース司会の番組で、毎回ひとつのテーマを設定して映画音楽を流す1時間番組です。放送時間は土曜日の午後1時からです。
 もうひとつはRepassez-moi l’standardというもので、毎回スタンダードナンバーを一曲選び、さまざまなアーティストによるその曲の新旧の録音をひたすら一時間かけまくるというきわめて面白い番組です。日曜日の午後7時からのローラン・ヴァレロ司会の一時間番組です。
 France Musiqueで今期始まった番組をもうひとつ紹介します。日曜日の午後11時半からのTour de chantはマルタン・ペネ司会の30分番組で、一人のアーティストを選んでそのアーティストの歌とインタヴューなどを流します。今のところは古いシャンソン歌手が多く、珍しいラジオ音源の歌が聴ける良い番組です。

France Interの番組

 France Interに戻ると、わかりやすいクラシック音楽についての解説でテレビでも人気があるジャンフランソワ・ジジェル司会のLa Preuve par Zがあります。クラシックの小品を並べたありがちな構成に陥ることなく、毎回テーマを決めてポップス、ジャズ、現代音楽などを軽妙な語りを交えて紹介します。ほぼ毎回のように司会者本人のピアノ即興演奏があります。土曜日の正午からの1時間番組です。
 Transmissionは今期始まったばかりの番組で、France Interとスイスのラジオ局Couleur 3のお勧め曲のプレイリストを流す番組です。あまり愛想のない番組ですが、アーバンミュージック、エレクトロ、インディーズロックなどの新曲が手軽に聞ける2時間番組です。放送時間は土曜日の午後10時です。
 映画監督のオリヴィエ・アサイヤスの弟のロック評論家ミシュカ・アサイヤスが司会のVery Good Tripは新旧のロックをテーマを決めて紹介する番組です。以前は週一回でしたが、2016年から週日月曜日から金曜日までの毎日午後9時からの一時間番組になりました。よい番組ながら、毎日の放送になってからは残念ながらほとんど聞けていません。

 以上いくつかの音楽番組を紹介しましたが、参考にしていただければ幸いです。


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